CMakeにおけるCMAKE_CROSSCOMPILING変数の詳細解説
CMakeにおけるCMAKE_CROSSCOMPILING変数の詳細解説
CMAKE_CROSSCOMPILING
変数は、CMakeがクロスコンパイル環境で実行されているかどうかを判断するために使用されます。これは、ターゲットプラットフォームとビルドプラットフォームが異なる場合に設定されます。
設定方法
CMAKE_CROSSCOMPILING
変数は、以下の方法で設定できます。
- CMakeコマンドラインオプション:
cmake -DCMAKE_CROSSCOMPILING=ON ...
- ツールチェーンファイル:
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
- CMakeLists.txtファイル:
if(NOT CMAKE_CROSSCOMPILING)
message(FATAL_ERROR "This project must be cross-compiled.")
endif()
影響
CMAKE_CROSSCOMPILING
変数が設定されると、CMakeは以下の動作を行います。
- クロスコンパイルに必要なツールチェーンファイルを読み込みます。
- ターゲットプラットフォームに合わせたビルド設定を生成します。
- クロスコンパイルに特化したモジュールやターゲットを検出します。
注意事項
CMAKE_CROSSCOMPILING
変数は、CMakeがクロスコンパイル環境で実行されているかどうかを判断するためにのみ使用されます。- ターゲットプラットフォームとビルドプラットフォームが異なる場合、
CMAKE_SYSTEM_NAME
変数も設定する必要があります。 - クロスコンパイルを行うには、適切なツールチェーンがインストールされている必要があります。
補足
- 以下のキーワードは、Google検索で関連情報を見つけるのに役立ちます。
CMake CMAKE_CROSSCOMPILING
CMake クロスコンパイル
CMake ツールチェーンファイル
例
以下の例は、CMAKE_CROSSCOMPILING
変数を使用して、ARMアーキテクチャ向けのプログラムをクロスコンパイルする方法を示しています。
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux-arm")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
find_program(CROSS_COMPILE_CC arm-linux-gcc)
add_executable(my_program my_program.c)
set_target_properties(my_program PROPERTIES
COMPILE_FLAGS "-mcpu=cortex-a7"
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath-link=/usr/lib/arm-linux-gnueabihf"
)
target_link_libraries(my_program -lstdc++ -lm)
この例では、CMAKE_SYSTEM_NAME
変数がLinux-arm
に設定され、CMAKE_CROSSCOMPILING
変数がTRUE
に設定されています。これは、CMakeにARMアーキテクチャ向けのプログラムをクロスコンパイルするように指示します。
find_program
コマンドは、arm-linux-gcc
クロスコンパイラを見つけます。このクロスコンパイラは、my_program.c
ソースファイルを使用して、ARMアーキテクチャ向けのプログラムをコンパイルするために使用されます。
set_target_properties
コマンドは、my_program
ターゲットのコンパイルとリンクオプションを設定します。
target_link_libraries
コマンドは、my_program
ターゲットに必要なライブラリをリンクします。
この例は、CMAKE_CROSSCOMPILING
変数を使用して、クロスコンパイルを行う方法を示す基本的な例です。詳細については、上記のCMakeドキュメントを参照してください。
CMakeにおけるCMAKE_CROSSCOMPILING変数のサンプルコード
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux-arm")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
find_program(CROSS_COMPILE_CC arm-linux-gcc)
add_executable(my_program my_program.c)
set_target_properties(my_program PROPERTIES
COMPILE_FLAGS "-mcpu=cortex-a7"
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath-link=/usr/lib/arm-linux-gnueabihf"
)
target_link_libraries(my_program -lstdc++ -lm)
クロスコンパイル環境で動作するテストを実行する
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux-arm")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
find_program(CROSS_COMPILE_CC arm-linux-gcc)
add_executable(my_test my_test.c)
set_target_properties(my_test PROPERTIES
COMPILE_FLAGS "-mcpu=cortex-a7"
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath-link=/usr/lib/arm-linux-gnueabihf"
)
target_link_libraries(my_test -lstdc++ -lm)
add_test(NAME my_test_cross
COMMAND ${CROSS_COMPILE_CC} -o my_test_cross my_test.c
WORKING_DIRECTORY ${CMAKE_BINARY_DIR})
set_tests_properties(my_test_cross PROPERTIES
RUN_UNDER_EMULATOR "qemu-arm"
)
クロスコンパイルされたプログラムをインストールする
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux-arm")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
find_program(CROSS_COMPILE_CC arm-linux-gcc)
add_executable(my_program my_program.c)
set_target_properties(my_program PROPERTIES
COMPILE_FLAGS "-mcpu=cortex-a7"
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath-link=/usr/lib/arm-linux-gnueabihf"
)
target_link_libraries(my_program -lstdc++ -lm)
install(TARGETS my_program
RUNTIME DESTINATION /usr/bin
LIBRARY DESTINATION /usr/lib
ARCHIVE DESTINATION /usr/lib/archive)
クロスコンパイル環境で動作するC++プログラムを作成する
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux-arm")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
find_program(CROSS_COMPILE_CXX arm-linux-g++)
add_executable(my_program my_program.cpp)
set_target_properties(my_program PROPERTIES
COMPILE_FLAGS "-mcpu=cortex-a7"
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath-link=/usr/lib/arm-linux-gnueabihf"
)
target_link_libraries(my_program -lstdc++ -lm)
クロスコンパイル環境で動作するFortranプログラムを作成する
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux-arm")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
find_program(CROSS_COMPILE_FC arm-linux-gfortran)
add_executable(my_program my_program.f90)
set_target_properties(my_program PROPERTIES
COMPILE_FLAGS "-mcpu=cortex-a7"
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath-link=/usr/lib/arm-linux-gnueabihf"
)
target_link_libraries(my_program -lstdc++ -lm)
これらのサンプルコードは、CMAKE_CROSSCOMPILING変数を使用して、クロスコンパイルを行う方法を示す基本的な例です。詳細については、上記のCMakeドキュメントを参照してください。
CMakeにおけるCMAKE_CROSSCOMPILING変数以外のクロスコンパイル方法
ツールチェーンファイルを使用する
ツールチェーンファイルは、CMakeに特定のターゲットプラットフォーム向けのビルド設定を指示するために使用されます。ツールチェーンファイルは、CMakeの標準ツールチェーンファイルを使用することも、独自に作成することもできます。
例
# toolchain-arm.cmake
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "Linux-arm")
set(CMAKE_C_COMPILER "arm-linux-gcc")
set(CMAKE_CXX_COMPILER "arm-linux-g++")
set(CMAKE_LINKER "arm-linux-ld")
# その他のターゲットプラットフォーム固有の設定
上記の例では、toolchain-arm.cmake
という名前のツールチェーンファイルを作成しています。このファイルは、CMakeにARMアーキテクチャ向けのビルド設定を指示します。
CMakeLists.txtファイルで、CMAKE_TOOLCHAIN_FILE
変数を使用してツールチェーンファイルを指定できます。
例
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_TOOLCHAIN_FILE "toolchain-arm.cmake")
# ここにプロジェクトのビルド設定
手動でコンパイラオプションを設定する
CMAKE_C_COMPILER
、CMAKE_CXX_COMPILER
、CMAKE_LINKER
などの変数を使用して、手動でコンパイラオプションを設定することもできます。
例
# CMakeLists.txt
set(CMAKE_C_COMPILER "arm-linux-gcc")
set(CMAKE_CXX_COMPILER "arm-linux-g++")
set(CMAKE_LINKER "arm-linux-ld")
set(CMAKE_C_FLAGS "-mcpu=cortex-a7")
set(CMAKE_CXX_FLAGS "-mcpu=cortex-a7")
# ここにプロジェクトのビルド設定
外部ツールを使用する
CPack
などの外部ツールを使用して、クロスコンパイルされたプログラムをパッケージ化することもできます。
例
# CMakeLists.txt
# プロジェクトのビルド設定
cpack(
BUNDLE "my_program"
OUTPUT_DIRECTORY ${CMAKE_BINARY_DIR}/dist
)
上記の例では、CPack
を使用して、my_program
という名前のプログラムをクロスコンパイルし、dist
ディレクトリにパッケージ化しています。
CMAKE_CROSSCOMPILING
変数は、CMakeでクロスコンパイルを行うための最も簡単な方法ですが、他の方法も存在します。どの方法を使用するかは、プロジェクトの要件と環境によって異なります。
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