初めての CMake Modules: FindPkgConfig で外部ライブラリを使いこなす
CMake Modules における FindPkgConfig の詳細解説
この解説では、FindPkgConfig の仕組み、使用方法、オプション、および高度な使い方について詳しく説明します。
FindPkgConfig は、CMake モジュールの一つであり、以下の機能を提供します。
- pkg-config との連携: インストール済みパッケージの情報を検索し、解析します。
- ビルド情報の自動設定: ヘッダーファイル、ライブラリファイル、リンカーオプションなどの情報を設定します。
- 依存関係の管理: プロジェクトに必要な依存関係を自動的に解決します。
FindPkgConfig は、以下の利点があります。
- 簡便性: 手動で設定ファイルを編集する必要がなくなり、ビルド工程を簡略化できます。
- 移植性: プラットフォームや環境に依存せずに、プロジェクトをビルドできます。
- 信頼性: 設定ミスによるエラーを減らすことができます。
1 基本的な使い方
FindPkgConfig を使用するには、CMakeLists.txt ファイルに以下のコマンドを追加します。
find_package(PkgName [REQUIRED] [QUIET])
- PkgName: 検索するパッケージの名前
- REQUIRED: オプション。指定すると、パッケージが見つからない場合にエラーが発生します。
- QUIET: オプション。指定すると、検索結果のメッセージを出力しません。
例:
find_package(SDL2 REQUIRED)
このコマンドは、SDL2 パッケージを検索し、見つかった場合は以下の情報を設定します。
- SDL2_FOUND: 変数。パッケージが見つかった場合は TRUE に設定されます。
- SDL2_INCLUDE_DIRS: 変数。SDL2 のヘッダーファイルのディレクトリパス
- SDL2_LIBRARIES: 変数。SDL2 のライブラリファイル
これらの変数は、プロジェクトのソースコードで直接使用できます。
2 詳細なオプション
FindPkgConfig には、以下のオプションがあります。
- CONFIG: パッケージの構成オプションを指定します。
- COMPONENTS: パッケージのコンポーネントを指定します。
- NO_POLICY_SCOPE: ポリシースコープを無効にします。
- EXACT_VERSION: バージョンを厳密に一致させるかどうかを指定します。
例:
find_package(SDL2 REQUIRED CONFIG=static COMPONENTS=gfx)
このコマンドは、SDL2 パッケージの静的ライブラリと gfx コンポーネントを検索します。
高度な使い方
1 複数のバージョンを扱う
FindPkgConfig は、複数のバージョンのパッケージを扱うことができます。
find_package(PkgName [MAJOR.MINOR] [EXACT_VERSION])
- MAJOR.MINOR: 検索するパッケージのバージョン
例:
find_package(Qt5 5.12 EXACT_VERSION)
このコマンドは、Qt5 のバージョン 5.12 を検索します。
2 モジュールの作成
FindPkgConfig モジュールを作成することで、独自の検索ロジックを実装できます。
詳細は、CMake のドキュメントを参照してください。
まとめ
FindPkgConfig は、CMake Modules における強力なツールです。 理解して使いこなすことで、プロジェクトのビルドを効率化できます。
FindPkgConfig のサンプルコード
基本的なサンプル
find_package(SDL2 REQUIRED)
# SDL2 のヘッダーファイルのインクルード
include_directories(${SDL2_INCLUDE_DIRS})
# SDL2 のライブラリとのリンク
link_libraries(${SDL2_LIBRARIES})
バージョン指定
find_package(Qt5 5.12 EXACT_VERSION)
# Qt5 のヘッダーファイルのインクルード
include_directories(${Qt5_INCLUDE_DIRS})
# Qt5 のライブラリとのリンク
link_libraries(${Qt5_LIBRARIES})
コンポーネント指定
find_package(SDL2 REQUIRED CONFIG=static COMPONENTS=gfx)
# SDL2 の静的ライブラリとのリンク
link_libraries(${SDL2_LIBRARIES})
モジュールの作成
# FindPkgConfig モジュールを作成
set(MODULE_NAME MyModule)
# モジュールファイルのパス
set(MODULE_FILE ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/${MODULE_NAME}.cmake)
# モジュールの作成
add_custom_target(${MODULE_NAME} ALL
COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E copy
${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/Find${MODULE_NAME}.cmake
${CMAKE_BINARY_DIR}/Modules/${MODULE_NAME}.cmake)
# モジュールの使用
find_package(${MODULE_NAME} REQUIRED)
# モジュールによって設定された変数
message(${MYMODULE_FOUND})
message(${MYMODULE_INCLUDE_DIRS})
message(${MYMODULE_LIBRARIES})
補足
FindPkgConfig に関するご質問は、お気軽にお尋ねください。
CMakeで外部ライブラリを扱うその他の方法
手動設定
FindPkgConfig を使用せずに、以下の情報を手動で設定できます。
- ヘッダーファイルのインクルードパス
- ライブラリファイルのパス
- リンカーオプション
この方法は、比較的単純なプロジェクトの場合に有効です。
CMake モジュールの作成
FindPkgConfig のような独自の CMake モジュールを作成できます。
この方法は、複雑なプロジェクトや、特定のニーズを満たす必要がある場合に有効です。
サードパーティ製のツール
CPack や Conan などのサードパーティ製のツールを使用して、外部ライブラリを管理できます。
これらのツールは、プロジェクトの依存関係を自動的にダウンロード、インストール、設定することができます。
それぞれの方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
FindPkgConfig | 簡便性、移植性 | バージョン管理が複雑な場合がある |
手動設定 | 柔軟性 | 設定ミスが発生しやすい |
CMake モジュールの作成 | 柔軟性、拡張性 | 開発コストが高い |
サードパーティ製のツール | 簡便性、自動化 | ツール固有の知識が必要 |
どの方法を選択するかは、プロジェクトの規模、複雑性、およびニーズによって異なります。
- シンプルなプロジェクトの場合は、FindPkgConfig または手動設定が適切です。
- 複雑なプロジェクトや、特定のニーズを満たす必要がある場合は、CMake モジュールの作成またはサードパーティ製のツールの使用を検討してください。
これらの方法に関するご質問は、お気軽にお尋ねください。
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