std::basic_stringを使いこなして、C++で文字列を自在に操る

C++の文字列操作：std::basic_string完全ガイド

std::basic_stringとは？

std::basic_stringは、C++標準ライブラリで提供される汎用的な文字列クラスです。文字列の格納、操作、比較など、文字列処理に必要な機能を網羅しています。

主な特徴:

• 様々な文字型に対応：char、wchar_t、char16_t、char32_tなど
• 豊富な操作メソッド：連結、分割、検索、置換など
• 高度な機能：正規表現処理、ロケール対応など
• 効率的なメモリ管理：動的メモリ確保と解放を自動で行う

基本的な使い方

std::basic_stringを使うには、まずヘッダーファイル <string> をインクルードする必要があります。

#include <string>

文字列の作成:

• コンストラクタを使って直接文字列を指定

std::string str1 = "Hello, world!";

• 空の文字列を作成

std::string str2;

• 別の文字列からコピー

std::string str3(str1);

文字列の操作:

• 文字列の長さを取得

std::size_t len = str1.length();

• 文字列の連結

std::string str4 = str1 + " " + str2;

• 文字列の検索

std::size_t pos = str1.find("world");

• 部分文字列の取得

std::string sub = str1.substr(7, 5); // "world"

文字列の比較:

• 等価比較

bool equal = (str1 == str2);

• 不等価比較

bool not_equal = (str1 != str2);

• 辞書順比較

bool less = (str1 < str2);

応用的な機能

std::basic_stringは、文字列処理に必要な様々な機能を提供しています。

正規表現処理:

• std::regex クラスを使って、複雑なパターン検索や置換を行うことができます。

ロケール対応:

• std::locale クラスを使って、言語や地域に合わせた文字列処理を行うことができます。

• 文字列の変換 (大小文字変換、数値変換など)
• フォーマット指定出力
• ストリーム入出力

まとめ

std::basic_stringは、C++で文字列を扱うための強力なツールです。基本的な使い方をマスターすれば、様々な文字列処理を簡単に行うことができます。

補足

• C++20では、std::string_view という新しいクラスが導入されました。これは、std::basic_stringの軽量版であり、コピーせずに文字列を参照することができます。
• 文字列処理ライブラリとして、Boost.StringやQtなど、C++標準ライブラリ以外の選択肢もあります。

学習を深めるために:

• 上記の参考資料を参考に、std::basic_stringの様々な機能を試してみてください。
• 実際にコードを書いて、文字列処理の練習をしましょう。
• C++標準ライブラリだけでなく、他の文字列処理ライブラリについても調べてみましょう。

std::basic_string サンプルコード

#include <string>

// 直接文字列を指定
std::string str1 = "Hello, world!";

// 空の文字列を作成
std::string str2;

// 別の文字列からコピー
std::string str3(str1);

// 文字列リテラルから
std::string str4 = "C++"s;

// wchar_t から
std::wstring wstr = L"こんにちは";
std::string str5(wstr.begin(), wstr.end());

文字列の操作

// 文字列の長さを取得
std::size_t len = str1.length();

// 文字列の連結
std::string str6 = str1 + " " + str2;

// 文字列の検索
std::size_t pos = str1.find("world");

// 部分文字列の取得
std::string sub = str1.substr(7, 5); // "world"

// 文字列の置換
str1.replace(pos, 5, "!"); // "Hello, !"

// 大文字に変換
std::transform(str1.begin(), str1.end(), str1.begin(), ::toupper);

文字列の比較

// 等価比較
bool equal = (str1 == str2);

// 不等価比較
bool not_equal = (str1 != str2);

// 辞書順比較
bool less = (str1 < str2);

応用的な機能

正規表現処理

#include <regex>

std::string str = "This is a test string.";

// 数字を抽出
std::regex re("[0-9]+");
std::smatch match;

if (std::regex_search(str, match, re)) {
  std::string number = match[0].str();
  std::cout << "Number: " << number << std::endl;
}

ロケール対応

#include <locale>

std::string str = "Hello, world!";

// ロケールを設定
std::locale loc("ja_JP.UTF-8");

// 大文字に変換
std::transform(str.begin(), str.end(), str.begin(), std::toupper, loc);

std::cout << str << std::endl; // "こんにちは、世界！"

これらのサンプルコードを参考に、std::basic_stringの様々な機能を試してみてください。

学習を深めるために

• 上記のサンプルコードを参考に、実際にコードを書いて、文字列処理の練習をしましょう。

C++で文字列を扱うその他の方法

C言語の文字列配列

伝統的な方法として、C言語の文字列配列 (char[]) を使用できます。

char str[] = "Hello, world!";

// 文字列の長さを取得
size_t len = strlen(str);

// 文字列の連結
strcat(str, "!");

// 文字列の検索
char *pos = strstr(str, "world");

// 部分文字列の取得
char sub[6];
strncpy(sub, str + 7, 5);
sub[5] = '\0'; // 末尾文字を追加

// 文字列の比較
int cmp = strcmp(str, "Hello, world!");

C言語の文字列配列はシンプルですが、メモリ管理や安全性に注意する必要があります。

STLのアルゴリズム

標準ライブラリのアルゴリズムを使って、文字列操作を行うこともできます。

#include <algorithm>
#include <vector>

std::string str = "Hello, world!";

// 文字列を反転
std::reverse(str.begin(), str.end());

// 文字列を大文字に変換
std::transform(str.begin(), str.end(), str.begin(), ::toupper);

// 部分文字列を検索
std::vector<std::string> words;
std::split(words, str, std::is_space); // 空白文字で分割

STLアルゴリズムは汎用性が高いですが、文字列操作に特化した機能は少ないです。

第三者ライブラリ

Boost.StringやQtなど、C++で文字列を扱うための強力なライブラリが多数存在します。

Boost.String:

*豊富な文字列操作機能

• 高度な正規表現処理
• ロケール対応

Qt:

*豊富な文字列操作機能

• GUIアプリケーション開発に最適
• プラットフォーム間互換性

これらのライブラリは、std::basic_stringよりも多くの機能を提供しますが、学習コストやライブラリの依存関係などの考慮が必要です。

まとめ

C++で文字列を扱う方法は、std::basic_string以外にも多数存在します。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、目的に合った方法を選択する必要があります。