PyTorch Backends: torch.backends.cuda.cufft_plan_cache 解説

2024-04-02

PyTorch Backends: torch.backends.cuda.cufft_plan_cache 解説

torch.backends.cuda.cufft_plan_cache は、PyTorch の CUDA バックエンドにおける cuFFT プランキャッシュを管理するためのモジュールです。cuFFT は、CUDA 上で高速なフーリエ変換を行うためのライブラリであり、torch.fft モジュールで使用されています。

cuFFT プランキャッシュは、cuFFT によって生成された実行プランを保存するためのキャッシュです。プランは、フーリエ変換の実行に必要な計算手順を記述したものであり、事前に作成しておくことで変換処理を高速化することができます。

torch.backends.cuda.cufft_plan_cache モジュールでは、以下の操作を行うことができます。

  • キャッシュのサイズを取得する
  • キャッシュの最大サイズを設定する
  • キャッシュをクリアする

主な属性とメソッド

  • size: キャッシュ内のプランの数を取得します。
  • max_size: キャッシュの最大サイズを設定します。デフォルトは 1024 です。
  • clear: キャッシュ内のすべてのプランを削除します。

コード例

# キャッシュのサイズを取得
cache_size = torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.size

# キャッシュの最大サイズを設定
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.max_size = 512

# キャッシュをクリア
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.clear

注意点

  • cuFFT プランキャッシュは、CUDA コンテキストに依存します。そのため、異なるコンテキスト間でプランを共有することはできません。
  • キャッシュの最大サイズは、GPU のメモリ容量によって制限されます。
  • torch.backends.cuda モジュールには、cufft_plan_cache 以外にも、CUDA バックエンドに関する様々な機能を提供するモジュールが含まれています。詳細は、PyTorch のドキュメントを参照してください。


torch.backends.cuda.cufft_plan_cache サンプルコード

キャッシュのサイズを取得

# キャッシュ内のプランの数を取得
cache_size = torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.size

print(f"キャッシュ内のプラン数: {cache_size}")

キャッシュの最大サイズを設定

# キャッシュの最大サイズを設定
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.max_size = 512

print(f"キャッシュの最大サイズ: {torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.max_size}")

キャッシュをクリア

# キャッシュ内のすべてのプランを削除
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.clear

print("キャッシュをクリアしました")

フーリエ変換の実行

import torch

# 入力データ
x = torch.randn(1024, dtype=torch.complex64)

# フーリエ変換の実行
y = torch.fft.fft(x)

# 結果の確認
print(y)

注意事項

  • 上記のコードは、CUDA が有効になっている環境で実行する必要があります。
  • フーリエ変換の実行には、cuFFT ライブラリが必要です。

キャッシュの有効活用

cuFFT プランキャッシュを活用することで、フーリエ変換処理を高速化することができます。特に、以下のケースで効果が期待できます。

  • 同じ入力データに対して繰り返しフーリエ変換を実行する場合
  • 入力データサイズが大きい場合


cuFFT プランキャッシュの代替方法

手動でプランを作成して管理する

cuFFT ライブラリは、cufftPlan 関数を使用して手動でプランを作成することができます。作成したプランは、cufftExec 関数を使用してフーリエ変換を実行するために使用できます。

import cufft

# 入力データサイズ
n = 1024

# プランの作成
plan = cufft.cufftPlan(n, n, cufft.CUFFT_COMPLEX)

# 入力データ
x = torch.randn(n, dtype=torch.complex64)

# 出力データ
y = torch.empty_like(x)

# フーリエ変換の実行
cufft.cufftExec(plan, x, y)

# 結果の確認
print(y)

手動でプランを作成する方法では、キャッシュを管理する必要はありません。ただし、プランの作成には時間がかかる場合があり、複雑なデータ形式に対しては難しい場合があります。

cuFFT ライブラリのプランキャッシュを使用する

cuFFT ライブラリには、独自のプランキャッシュ機能が提供されています。この機能を使用するには、cufftPlanMany 関数を使用して複数のプランをまとめて作成する必要があります。作成したプランは、cufftExecR2CcufftExecC2R などの関数を使用してフーリエ変換を実行するために使用できます。

import cufft

# 入力データサイズ
n = 1024

# プランの作成
plans = cufft.cufftPlanMany(n, n, cufft.CUFFT_COMPLEX, 1)

# 入力データ
x = torch.randn(n, dtype=torch.complex64)

# 出力データ
y = torch.empty_like(x)

# フーリエ変換の実行
cufft.cufftExecR2C(plans[0], x, y)

# 結果の確認
print(y)

cuFFT ライブラリのプランキャッシュを使用する方法では、torch.backends.cuda.cufft_plan_cache を使用するよりも効率的な場合がありますが、コードが複雑になる可能性があります。

その他のライブラリを使用する

cuFFT プランを管理する機能を提供するオープンソースライブラリもいくつかあります。これらのライブラリを使用することで、より簡単にプランを管理することができます。

torch.backends.cuda.cufft_plan_cache は、cuFFT プランキャッシュを管理するための便利なモジュールです。ただし、他の方法もいくつか存在し、それぞれメリットとデメリットがあります。

最適な方法は、使用状況によって異なります。




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