PyTorch Backends: torch.backends.cuda.cufft_plan_cache 解説
PyTorch Backends: torch.backends.cuda.cufft_plan_cache 解説
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache
は、PyTorch の CUDA バックエンドにおける cuFFT プランキャッシュを管理するためのモジュールです。cuFFT は、CUDA 上で高速なフーリエ変換を行うためのライブラリであり、torch.fft
モジュールで使用されています。
cuFFT プランキャッシュは、cuFFT によって生成された実行プランを保存するためのキャッシュです。プランは、フーリエ変換の実行に必要な計算手順を記述したものであり、事前に作成しておくことで変換処理を高速化することができます。
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache
モジュールでは、以下の操作を行うことができます。
- キャッシュのサイズを取得する
- キャッシュの最大サイズを設定する
- キャッシュをクリアする
主な属性とメソッド
size
: キャッシュ内のプランの数を取得します。max_size
: キャッシュの最大サイズを設定します。デフォルトは 1024 です。clear
: キャッシュ内のすべてのプランを削除します。
コード例
# キャッシュのサイズを取得
cache_size = torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.size
# キャッシュの最大サイズを設定
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.max_size = 512
# キャッシュをクリア
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.clear
注意点
- cuFFT プランキャッシュは、CUDA コンテキストに依存します。そのため、異なるコンテキスト間でプランを共有することはできません。
- キャッシュの最大サイズは、GPU のメモリ容量によって制限されます。
torch.backends.cuda
モジュールには、cufft_plan_cache
以外にも、CUDA バックエンドに関する様々な機能を提供するモジュールが含まれています。詳細は、PyTorch のドキュメントを参照してください。
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache サンプルコード
キャッシュのサイズを取得
# キャッシュ内のプランの数を取得
cache_size = torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.size
print(f"キャッシュ内のプラン数: {cache_size}")
キャッシュの最大サイズを設定
# キャッシュの最大サイズを設定
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.max_size = 512
print(f"キャッシュの最大サイズ: {torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.max_size}")
キャッシュをクリア
# キャッシュ内のすべてのプランを削除
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache.clear
print("キャッシュをクリアしました")
フーリエ変換の実行
import torch
# 入力データ
x = torch.randn(1024, dtype=torch.complex64)
# フーリエ変換の実行
y = torch.fft.fft(x)
# 結果の確認
print(y)
注意事項
- 上記のコードは、CUDA が有効になっている環境で実行する必要があります。
- フーリエ変換の実行には、cuFFT ライブラリが必要です。
キャッシュの有効活用
cuFFT プランキャッシュを活用することで、フーリエ変換処理を高速化することができます。特に、以下のケースで効果が期待できます。
- 同じ入力データに対して繰り返しフーリエ変換を実行する場合
- 入力データサイズが大きい場合
cuFFT プランキャッシュの代替方法
手動でプランを作成して管理する
cuFFT ライブラリは、cufftPlan
関数を使用して手動でプランを作成することができます。作成したプランは、cufftExec
関数を使用してフーリエ変換を実行するために使用できます。
import cufft
# 入力データサイズ
n = 1024
# プランの作成
plan = cufft.cufftPlan(n, n, cufft.CUFFT_COMPLEX)
# 入力データ
x = torch.randn(n, dtype=torch.complex64)
# 出力データ
y = torch.empty_like(x)
# フーリエ変換の実行
cufft.cufftExec(plan, x, y)
# 結果の確認
print(y)
手動でプランを作成する方法では、キャッシュを管理する必要はありません。ただし、プランの作成には時間がかかる場合があり、複雑なデータ形式に対しては難しい場合があります。
cuFFT ライブラリのプランキャッシュを使用する
cuFFT ライブラリには、独自のプランキャッシュ機能が提供されています。この機能を使用するには、cufftPlanMany
関数を使用して複数のプランをまとめて作成する必要があります。作成したプランは、cufftExecR2C
や cufftExecC2R
などの関数を使用してフーリエ変換を実行するために使用できます。
import cufft
# 入力データサイズ
n = 1024
# プランの作成
plans = cufft.cufftPlanMany(n, n, cufft.CUFFT_COMPLEX, 1)
# 入力データ
x = torch.randn(n, dtype=torch.complex64)
# 出力データ
y = torch.empty_like(x)
# フーリエ変換の実行
cufft.cufftExecR2C(plans[0], x, y)
# 結果の確認
print(y)
cuFFT ライブラリのプランキャッシュを使用する方法では、torch.backends.cuda.cufft_plan_cache
を使用するよりも効率的な場合がありますが、コードが複雑になる可能性があります。
その他のライブラリを使用する
cuFFT プランを管理する機能を提供するオープンソースライブラリもいくつかあります。これらのライブラリを使用することで、より簡単にプランを管理することができます。
torch.backends.cuda.cufft_plan_cache
は、cuFFT プランキャッシュを管理するための便利なモジュールです。ただし、他の方法もいくつか存在し、それぞれメリットとデメリットがあります。
最適な方法は、使用状況によって異なります。
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