GradScaler.state_dict() を使って、PyTorch Automatic Mixed Precision の訓練を中断して後で再開する方法

2024-04-02

PyTorch Automatic Mixed Precision と GradScaler.state_dict()

GradScaler.state_dict() は、GradScaler の現在の状態を保存する辞書を返します。この辞書には、以下の情報が含まれます。

  • scaler.scale: 現在のスケーリングファクター
  • scaler.growth_factor: スケーリングファクターの更新率
  • scaler.max_growth: スケーリングファクターの最大値
  • scaler.state: スケーリング状態

GradScaler.state_dict() を使用して、GradScaler の状態を保存し、後で復元することができます。これは、例えば、モデルの訓練を中断して後で再開したい場合や、訓練済みモデルを他のユーザーと共有したい場合に役立ちます。

例:

# GradScaler を作成
scaler = GradScaler()

# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
    # 訓練コード

    # スケーリングされた勾配を計算
    scaled_grads = scaler.scale(grads)

    # オプティマイザで更新
    optimizer.step(scaled_grads)

    # スケーリングを解除
    scaler.unscale_(optimizer)

# GradScaler の状態を保存
state_dict = scaler.state_dict()

# 後で復元
scaler.load_state_dict(state_dict)

GradScaler.state_dict() を使用する場合、以下の点に注意する必要があります。

  • 保存された辞書は、GradScaler が作成された PyTorch バージョンと互換性がある必要があります。
  • 保存された辞書は、同じ型のオプティマイザと使用されている必要があります。

補足

  • GradScaler は、PyTorch 1.6 以降で使用できます。
  • GradScaler は、GPU 上でのみ使用できます。
  • GradScaler は、モデルの訓練を高速化するために有効ですが、訓練の精度が低下する可能性があります。


GradScaler.state_dict() を使用したサンプルコード

# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
    # 訓練コード

    # スケーリングされた勾配を計算
    scaled_grads = scaler.scale(grads)

    # オプティマイザで更新
    optimizer.step(scaled_grads)

    # スケーリングを解除
    scaler.unscale_(optimizer)

    # 訓練を中断する必要がある場合は、GradScaler の状態を保存
    if中断条件:
        state_dict = scaler.state_dict()
        break

# 後で訓練を再開
if中断条件:
    scaler.load_state_dict(state_dict)

    # 訓練コードを再開

訓練済みモデルを他のユーザーと共有する

# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
    # 訓練コード

    # スケーリングされた勾配を計算
    scaled_grads = scaler.scale(grads)

    # オプティマイザで更新
    optimizer.step(scaled_grads)

    # スケーリングを解除
    scaler.unscale_(optimizer)

# 訓練済みモデルと GradScaler の状態を保存
model_state_dict = model.state_dict()
scaler_state_dict = scaler.state_dict()

# 他のユーザーと共有

GradScaler の状態を可視化する

# GradScaler の状態を取得
state_dict = scaler.state_dict()

# スケーリングファクター
print(state_dict["scaler.scale"])

# スケーリングファクターの更新率
print(state_dict["scaler.growth_factor"])

# スケーリングファクターの最大値
print(state_dict["scaler.max_growth"])

# スケーリングファクターの最小値
print(state_dict["scaler.min_growth"])

# スケーリング状態
print(state_dict["scaler.state"])

GradScaler の状態をカスタマイズする

# GradScaler を作成
scaler = GradScaler(
    init_scale=1024.0,
    growth_factor=2.0,
    max_growth=2048.0,
    min_growth=1.0,
)

# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
    # 訓練コード

    # スケーリングされた勾配を計算
    scaled_grads = scaler.scale(grads)

    # オプティマイザで更新
    optimizer.step(scaled_grads)

    # スケーリングを解除
    scaler.unscale_(optimizer)


GradScaler.state_dict() の代替方法

pickle を使用する

# GradScaler を pickle で保存
import pickle

with open("scaler.pkl", "wb") as f:
    pickle.dump(scaler, f)

# 後で復元
with open("scaler.pkl", "rb") as f:
    scaler = pickle.load(f)

torch.save() を使用する

# GradScaler を torch.save() で保存
torch.save(scaler, "scaler.pt")

# 後で復元
scaler = torch.load("scaler.pt")

自作の関数を作成する

def save_scaler(scaler, path):
    # GradScaler の状態を保存するコード

def load_scaler(path):
    # GradScaler の状態を復元するコード

# 使用例
save_scaler(scaler, "scaler.json")
scaler = load_scaler("scaler.json")

各方法の比較

方法メリットデメリット
GradScaler.state_dict()シンプルで使いやすいPyTorch バージョンとオプティマイザに依存する
pickle汎用性が高いセキュリティ上のリスクがある
torch.save()PyTorch に標準搭載されているGradScaler 以外のオブジェクトも保存される
自作の関数柔軟性が高いコード量が増える
  • 互換性: 保存した状態を他のユーザーと共有する必要がある場合は、互換性のある方法を選択する必要があります。
  • セキュリティ: セキュリティが重要な場合は、pickle を使用しないことをお勧めします。
  • 柔軟性: 複雑な要件がある場合は、自作の関数を作成する必要があります。



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