PyTorch の CUDA におけるキャッシュ管理のその他の方法

2024-04-02

PyTorch の CUDA における torch.cuda.memory_cached() の詳細解説

概要

  • torch.cuda.memory_cached() の役割:

    • CUDA デバイスのキャッシュに保存されているメモリの量を取得します。
    • キャッシュは、GPU 上で実行される PyTorch テンソルのメモリ使用量を一時的に保存する領域です。
    • メモリ使用量を監視し、必要に応じてキャッシュをクリアすることで、GPU メモリを効率的に管理できます。
  • この関数の重要性:

    • GPU メモリは貴重なリソースであり、効率的に管理する必要があります。
    • キャッシュに保存されているメモリは、プログラムによって明示的に解放されない限り、解放されません。
    • この関数は、キャッシュの使用量を監視し、必要に応じてキャッシュをクリアすることで、メモリ不足を防ぐのに役立ちます。

動作

  • torch.cuda.memory_cached() は、バイト単位でメモリの量を返します。
  • 返される値は、CUDA デバイスのすべてのキャッシュの合計メモリ使用量を表します。
  • キャッシュには、以下のものが含まれます:
    • PyTorch テンソルのメモリ
    • CUDA カーネルによって割り当てられたメモリ
    • その他の CUDA ライブラリによって割り当てられたメモリ

使用例

  • キャッシュ使用量の監視:

    import torch
    
    # 最初のキャッシュ使用量を取得
    initial_cache_size = torch.cuda.memory_cached()
    
    # いくつかの処理を実行
    ...
    
    # 処理後のキャッシュ使用量を取得
    final_cache_size = torch.cuda.memory_cached()
    
    # 使用量の変化を計算
    cache_usage_change = final_cache_size - initial_cache_size
    
    print(f"Cache usage change: {cache_usage_change}")
    
  • キャッシュのクリア:

    import torch
    
    # キャッシュに保存されているすべてのメモリを解放
    torch.cuda.empty_cache()
    

注意事項

  • torch.cuda.memory_cached() は、CUDA デバイスのキャッシュに保存されているメモリの量のみを取得します。
  • GPU 上で実行される PyTorch テンソルのメモリ使用量は、キャッシュに保存されているメモリよりも大きい場合があります。
  • GPU メモリ使用量を完全に把握するには、torch.cuda.memory_allocated() などの他の関数も使用する必要があります


PyTorch の CUDA における torch.cuda.memory_cached() のサンプルコード

キャッシュ使用量の監視

import torch

# 最初のキャッシュ使用量を取得
initial_cache_size = torch.cuda.memory_cached()

# ランダムテンサーを作成してGPUに転送
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")

# 処理後のキャッシュ使用量を取得
final_cache_size = torch.cuda.memory_cached()

# 使用量の変化を計算
cache_usage_change = final_cache_size - initial_cache_size

print(f"Cache usage change: {cache_usage_change}")

# テンサーを解放
del x

# キャッシュ使用量の再確認
final_cache_size_after_del = torch.cuda.memory_cached()

print(f"Cache usage after tensor deletion: {final_cache_size_after_del}")

キャッシュのクリア

import torch

# キャッシュに保存されているすべてのメモリを解放
torch.cuda.empty_cache()

# キャッシュ使用量を確認
cache_size_after_empty_cache = torch.cuda.memory_cached()

print(f"Cache size after emptying: {cache_size_after_empty_cache}")

この例では、torch.cuda.empty_cache() 関数を使用して、キャッシュに保存されているすべてのメモリを解放します。

キャッシュ使用量の監視とクリア

import torch

def monitor_and_clear_cache():
    # 最初のキャッシュ使用量を取得
    initial_cache_size = torch.cuda.memory_cached()

    # 処理を実行
    ...

    # 処理後のキャッシュ使用量を取得
    final_cache_size = torch.cuda.memory_cached()

    # 使用量の変化を計算
    cache_usage_change = final_cache_size - initial_cache_size

    # 使用量が多い場合はキャッシュをクリア
    if cache_usage_change > threshold:
        torch.cuda.empty_cache()

# 使用量監視とクリアのループ
while True:
    monitor_and_clear_cache()
    time.sleep(1)

この例では、monitor_and_clear_cache() 関数を使用して、キャッシュ使用量を監視し、必要に応じてキャッシュをクリアします。

  • 特定の CUDA デバイスのキャッシュ使用量を取得する:
device = torch.device("cuda:0")
cache_size = torch.cuda.memory_cached(device)
  • テンサーがどの CUDA デバイスのキャッシュに保存されているかを確認する:
tensor = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
device = tensor.device
cache_size = torch.cuda.memory_cached(device)

これらのサンプルコードは、torch.cuda.memory_cached() 関数の使い方を理解するのに役立ちます。



PyTorch の CUDA におけるキャッシュ管理の他の方法

torch.cuda.memory_allocated() 関数は、CUDA デバイスに割り当てられたすべてのメモリの量を取得します。これは、キャッシュに保存されているメモリだけでなく、GPU 上で実行される PyTorch テンソルのメモリも含みます。

import torch

# 割り当てられたすべてのメモリの量を取得
allocated_memory = torch.cuda.memory_allocated()

print(f"Allocated memory: {allocated_memory}")

torch.cuda.set_per_process_memory_fraction() 関数は、各プロセスが使用できる GPU メモリの割合を設定します。これは、複数のプロセスが同じ GPU を共有する場合に役立ちます。

import torch

# 各プロセスが使用できるメモリ割合を設定
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction(0.5)

torch.cuda.max_memory_allocated() 関数は、これまで割り当てられた最大量の GPU メモリを取得します。これは、メモリリークを検出するのに役立ちます。

import torch

# 最大割り当てメモリ量を取得
max_allocated_memory = torch.cuda.max_memory_allocated()

print(f"Max allocated memory: {max_allocated_memory}")

NVIDIA Management Library (NVML)

NVML は、NVIDIA GPU を監視および管理するためのライブラリです。NVML を使用して、CUDA デバイスのキャッシュ使用量を含む、GPU に関する詳細情報を取得できます。

import nvml

# NVML ライブラリを初期化
nvml.init()

# デバイスハンドルを取得
device_handle = nvml.deviceGetHandleByIndex(0)

# キャッシュ使用量を取得
cache_size = nvml.nvmlDeviceGetCacheSize(device_handle)

# NVML ライブラリを終了
nvml.shutdown()

まとめ

torch.cuda.memory_cached() 関数は、CUDA デバイスのキャッシュ使用量を監視する便利な方法です。しかし、GPU メモリ使用量を完全に把握するには、torch.cuda.memory_allocated() などの他の関数も使用する必要があります。

これらの方法を組み合わせることで、GPU メモリを効率的に管理し、パフォーマンスを向上させることができます。




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