PyTorch の Optimization における torch.optim.SGD.step() の詳細解説

2024-04-02

PyTorch の Optimization における torch.optim.SGD.step() の詳細解説

torch.optim.SGD.step() は、PyTorch の torch.optim モジュールで提供される 確率的勾配降下法 (SGD) アルゴリズムに基づくオプティマイザーの更新ステップを実行する関数です。SGD は、ニューラルネットワークの学習において最も広く使用される最適化アルゴリズムの一つです。

機能

torch.optim.SGD.step() は、以下の機能を提供します。

  • パラメータの更新: 勾配に基づいて、ニューラルネットワークのパラメータを更新します。
  • 学習率の調整: 学習率をスケーリングすることで、更新の速度を調整できます。
  • モメンタムの適用: 過去の勾配情報を考慮することで、更新の安定性を向上できます。

コード例

import torch

# モデルと損失関数を定義
model = torch.nn.Linear(10, 1)
loss_fn = torch.nn.MSELoss()

# SGD オプティマイザーを生成
optimizer = torch.optim.SGD(model.parameters(), lr=0.01)

# 入力データと正解ラベル
x = torch.randn(10, 1)
y = torch.randn(10, 1)

# 順伝播と損失計算
y_pred = model(x)
loss = loss_fn(y_pred, y)

# 勾配の計算
loss.backward()

# オプティマイザーによるパラメータ更新
optimizer.step()

パラメータ

torch.optim.SGD.step()は以下のパラメータを受け取ります。

  • closure: 勾配計算とパラメータ更新をまとめた関数を指定します。
  • zero_grad: 勾配をゼロクリアするかどうかを指定します。デフォルトは True です。

詳細解説

  • SGD アルゴリズム: SGD アルゴリズムは、以下の式に基づいてパラメータを更新します。
θ_t+1 = θ_t - α * ∇f(θ_t)

ここで、

  • θ_t: 時刻 t におけるパラメータ

  • α: 学習率

  • ∇f(θ_t): 時刻 t における損失関数の勾配

  • 学習率: 学習率は、更新の速度を調整するハイパーパラメータです。学習率が大きければ更新速度が速くなり、小さければ更新速度が遅くなります。

  • モメンタム: モメンタムは、過去の勾配情報を考慮することで、更新の安定性を向上させるハイパーパラメータです。モメンタムが大きければ、過去の勾配の影響が大きくなり、更新方向が安定します。

補足

  • torch.optim.SGD.step() は、ニューラルネットワークの学習以外にも、様々な最適化問題に適用できます。
  • torch.optim モジュールには、SGD 以外にも様々なオプティマイザーが実装されています。


PyTorch SGD サンプルコード集

import torch
from torchvision import datasets, transforms

# モデルと損失関数を定義
model = torch.nn.Sequential(
    torch.nn.Flatten(),
    torch.nn.Linear(784, 10),
)
loss_fn = torch.nn.CrossEntropyLoss()

# SGD オプティマイザーを生成
optimizer = torch.optim.SGD(model.parameters(), lr=0.01)

# データセットの読み込み
train_dataset = datasets.MNIST(root=".", train=True, download=True, transform=transforms.ToTensor())
test_dataset = datasets.MNIST(root=".", train=False, download=True, transform=transforms.ToTensor())

# データローダーの作成
train_loader = torch.utils.data.DataLoader(train_dataset, batch_size=64, shuffle=True)
test_loader = torch.utils.data.DataLoader(test_dataset, batch_size=64, shuffle=False)

# 学習ループ
for epoch in range(10):
    for images, labels in train_loader:
        # 順伝播と損失計算
        outputs = model(images)
        loss = loss_fn(outputs, labels)

        # 勾配の計算
        loss.backward()

        # オプティマイザーによるパラメータ更新
        optimizer.step()

    # テストデータでの評価
    with torch.no_grad():
        correct = 0
        total = 0
        for images, labels in test_loader:
            outputs = model(images)
            _, predicted = torch.max(outputs.data, 1)
            total += labels.size(0)
            correct += (predicted == labels).sum().item()

        print(f"Epoch {epoch + 1}: Accuracy: {100 * correct / total:.2f}%")

CIFAR-10 データセットによる画像分類

import torch
from torchvision import datasets, transforms

# モデルと損失関数を定義
model = torch.nn.Sequential(
    torch.nn.Conv2d(3, 6, 5),
    torch.nn.ReLU(),
    torch.nn.MaxPool2d(2, 2),
    torch.nn.Conv2d(6, 16, 5),
    torch.nn.ReLU(),
    torch.nn.MaxPool2d(2, 2),
    torch.nn.Flatten(),
    torch.nn.Linear(16 * 5 * 5, 10),
)
loss_fn = torch.nn.CrossEntropyLoss()

# SGD オプティマイザーを生成
optimizer = torch.optim.SGD(model.parameters(), lr=0.01)

# データセットの読み込み
train_dataset = datasets.CIFAR10(root=".", train=True, download=True, transform=transforms.Compose([transforms.ToTensor(), transforms.Normalize((0.5, 0.5, 0.5), (0.5, 0.5, 0.5))]))
test_dataset = datasets.CIFAR10(root=".", train=False, download=True, transform=transforms.Compose([transforms.ToTensor(), transforms.Normalize((0.5, 0.5, 0.5), (0.5, 0.5, 0.5))]))

# データローダーの作成
train_loader = torch.utils.data.DataLoader(train_dataset, batch_size=64, shuffle=True)
test_loader = torch.utils.data.DataLoader(test_dataset, batch_size=64, shuffle=False)

# 学習ループ
for epoch in range(10):
    for images, labels in train_loader:
        # 順伝播と損失計算
        outputs = model(images)
        loss = loss_fn(outputs, labels)

        # 勾配の計算
        loss.backward()

        # オプティマイザーによるパラメータ更新
        optimizer.step()

    # テストデータでの評価
    with torch.no_grad():
        correct = 0
        total = 0
        for images, labels in test_loader:
            outputs = model(images)
            _, predicted = torch.max(outputs.data, 1)
            total += labels.size(0)
            correct += (predicted == labels).


PyTorch SGD の代替方法

Adam は、SGD と Adagrad の利点を組み合わせたアルゴリズムです。学習率の調整が容易で、多くの場合 SGD よりも高速に収束します。

optimizer = torch.optim.Adam(model.parameters(), lr=0.001)

RMSProp は、SGD の学習率スケジュール問題を解決するために提案されたアルゴリズムです。勾配の二乗平均平方根に基づいて学習率を調整するため、SGD よりも安定した学習が可能になります。

optimizer = torch.optim.RMSProp(model.parameters(), lr=0.001)

AdaGrad は、過去の勾配情報に基づいて学習率を調整するアルゴリズムです。パラメータごとに異なる学習率を設定するため、スパースなデータセットに有効です。

optimizer = torch.optim.AdaGrad(model.parameters(), lr=0.001)

Adadelta は、AdaGrad の欠点を克服するために提案されたアルゴリズムです。AdaGrad と同様にパラメータごとに異なる学習率を設定しますが、学習率の更新に二乗平均平方根を用いるため、AdaGrad よりも安定した学習が可能になります。

optimizer = torch.optim.Adadelta(model.parameters(), lr=0.001)

LBFGS は、限記憶擬ニュートン法に基づいたアルゴリズムです。SGD よりも高速に収束しますが、メモリ使用量が多くなります。

optimizer = torch.optim.LBFGS(model.parameters(), lr=0.001)

最適なオプティマイザーは、データセット、モデル、タスクによって異なります。さまざまなオプティマイザーを試して、最も良い結果を得られるものを選ぶのが良いでしょう。

その他の代替方法

  • 自身の勾配降下法アルゴリズムの実装
  • 学習率スケジューラ



パフォーマンス向上:PyTorch Dataset と DataLoader でデータローディングを最適化する

Datasetは、データセットを表す抽象クラスです。データセットは、画像、テキスト、音声など、機械学習モデルの学習に使用できるデータのコレクションです。Datasetクラスは、データセットを読み込み、処理するための基本的なインターフェースを提供します。



PyTorch C++ 拡張開発をレベルアップ! include パス取得の奥義をマスターしよう

torch. utils. cpp_extension. include_paths() は、PyTorch C++ 拡張をビルドするために必要なインクルードパスを取得するための関数です。 引数として cuda フラグを受け取り、True の場合、CUDA 固有のインクルードパスを追加します。 関数はインクルードパス文字列のリストを返します。


PyTorch Miscellaneous: 隠れた機能 torch.overrides.wrap_torch_function()

PyTorchは、機械学習アプリケーション開発のためのオープンソースライブラリです。torch. overrides. wrap_torch_function() は、PyTorchの「Miscellaneous」カテゴリに属する関数で、既存のPyTorch関数をオーバーライドするための機能を提供します。


PyTorchのC++バックトレースを取得:torch.utils.get_cpp_backtraceの使い方

torch. utils. get_cpp_backtrace は、PyTorch の C++ バックトレースを取得するための関数です。これは、C++ コードで発生したエラーのデバッグに役立ちます。機能この関数は、現在のスレッドの C++ バックトレースをリストとして返します。各要素は、フレームの情報を含むディクショナリです。


PyTorch Miscellaneous: torch.utils.cpp_extension.get_compiler_abi_compatibility_and_version() の概要

torch. utils. cpp_extension. get_compiler_abi_compatibility_and_version() は、C++ 拡張モジュールをビルドする際に、現在のコンパイラが PyTorch と互換性があるかどうかを確認するために使用されます。



ゼロ除算時の挙動: 剰余演算子 vs. torch.Tensor.fmod()

例:上記の例では、a % b と torch. fmod(a, b) はどちらも同じ結果を出力します。しかし、a と b の符号が異なる場合、結果は異なります。例:a % b は -2 になりますが、torch. fmod(a, b) は 1.0 になります。これは、torch


PyTorchの torch.Generator.get_state() :乱数生成器の状態を操る魔法

torch. Generator. get_state() は、torch. ByteTensor 型のテンソルを返します。このテンソルには、乱数生成器の状態に関する情報がエンコードされています。このテンソルを保存するには、torch. save() や pickle などの方法を使用できます。後で復元するには、torch


PyTorch の ONNX エクスポートでカスタムオペレーションのシンボリック表現を登録解除する方法

torch. onnx. unregister_custom_op_symbolic() は、PyTorch の ONNX エクスポート機能において、カスタムオペレーションのシンボリック表現を登録解除するために使用する関数です。詳細ONNX には、PyTorch のすべてのオペレーションが標準でサポートされているわけではありません。そのため、カスタムオペレーションを使用する場合は、ONNX エクスポーターにそのオペレーションのシンボリック表現を登録する必要があります。


PyTorch Tensor の逆行列計算:torch.Tensor.inverse 解説

PyTorch の torch. Tensor には、torch. Tensor. inverse というメソッドがあり、これは 逆行列計算 を実行するために使用されます。逆行列とは、元の行列と掛けると単位行列になるような行列です。単位行列とは、対角線上の要素がすべて 1 で、それ以外の要素がすべて 0 である行列です。


PyTorch Miscellaneous: torch.cpu.StreamContext を使って処理速度を向上させる

ストリーム処理は、複数の処理を並行して実行することで、CPU の処理速度を向上させる手法です。従来の逐次処理では、1 つの処理が完了してから次の処理が開始されますが、ストリーム処理では、複数の処理を同時に実行することで、処理時間の短縮を図ることができます。