Qt WidgetsにおけるQGesture::GestureCancelPolicyのその他の方法

2024-04-02

Qt Widgetsにおける QGesture::GestureCancelPolicy の詳細解説

QGesture::GestureCancelPolicy の値

  • CancelIgnored: ジェスチャーキャンセルを無視し、ジェスチャーはそのまま続行されます。
  • CancelAll: すべてのジェスチャーをキャンセルします。
  • CancelCurrent: 現在のジェスチャーのみをキャンセルします。
  • CancelOthers: 現在のジェスチャー以外のすべてのジェスチャーをキャンセルします。

各ポリシーの詳細

CancelIgnored:

  • ジェスチャーキャンセルを無視するため、ジェスチャーは中断されずに最後まで実行されます。
  • ユーザーが誤ってジェスチャーをキャンセルしてしまった場合などに有効です。
  • 例えば、ドラッグジェスチャー中に誤ってキャンセルボタンを押してしまった場合、このポリシーを設定することでドラッグ操作を続行することができます。

CancelAll:

  • すべてのジェスチャーをキャンセルします。
  • アプリケーション全体でジェスチャーを無効化したい場合に有効です。
  • 例えば、モーダルダイアログが表示されたときに、すべてのジェスチャーをキャンセルしてユーザー入力をダイアログに集中させることができます。

CancelCurrent:

  • 現在のジェスチャーのみをキャンセルします。
  • 複数のジェスチャーが同時に発生している場合、特定のジェスチャーのみをキャンセルしたい場合に有効です。
  • 例えば、ドラッグジェスチャーとピンチジェスチャーが同時に発生している場合、このポリシーを設定することでドラッグジェスチャーのみをキャンセルし、ピンチジェスチャーを続行することができます。

CancelOthers:

  • 現在のジェスチャー以外のすべてのジェスチャーをキャンセルします。
  • 現在のジェスチャーに集中したい場合に有効です。
  • 例えば、テキスト入力中にジェスチャーによる画面スクロールを無効化したい場合、このポリシーを設定することでテキスト入力に集中することができます。

ポリシーの選択

どのポリシーを選択するかは、アプリケーションの要件によって異なります。複数のジェスチャーを同時に処理する複雑なアプリケーションでは、CancelCurrentCancelOthers などのポリシーを使い分けることが必要になる場合があります。

// ジェスチャーオブジェクトを取得
QGesture *gesture = ...;

// ジェスチャーキャンセルポリシーを設定
gesture->setCancelPolicy(QGesture::CancelCurrent);

// ジェスチャーの開始
gesture->start();

// ...

// ジェスチャーのキャンセル
gesture->cancel();
  • 上記の説明は Qt 5.15 をベースにしています。他の Qt バージョンでは、QGesture::GestureCancelPolicy の動作が異なる場合があります。
  • ジェスチャーキャンセルポリシーは、Qt Widgets モジュールでのみ使用できます。


Qt Widgetsにおける QGesture::GestureCancelPolicy のサンプルコード

class MyWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT

public:
  MyWidget() {
    // ドラッグジェスチャーオブジェクトを作成
    m_gesture = new QDragGesture(this);

    // ジェスチャーキャンセルポリシーを設定
    m_gesture->setCancelPolicy(QGesture::CancelIgnored);

    // ジェスチャー開始時の処理
    connect(m_gesture, &QGesture::started, [this] {
      // ドラッグ開始処理
    });

    // ジェスチャー更新時の処理
    connect(m_gesture, &QGesture::updated, [this] {
      // ドラッグ更新処理
    });

    // ジェスチャー終了時の処理
    connect(m_gesture, &QGesture::finished, [this] {
      // ドラッグ終了処理
    });
  }

protected:
  QDragGesture *m_gesture;
};

CancelAll ポリシー

class MyWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT

public:
  MyWidget() {
    // ジェスチャー認識を有効にする
    setAcceptGestures(true);

    // ジェスチャーキャンセル時の処理
    connect(this, &QWidget::gestureCanceled, [this] {
      // すべてのジェスチャーキャンセル処理
    });
  }

protected:
  void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override {
    // マウスボタン押下時にすべてのジェスチャーをキャンセル
    gestureCancelPolicy(QGesture::CancelAll);

    // ...

    QWidget::mousePressEvent(event);
  }
};

CancelCurrent ポリシー

class MyWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT

public:
  MyWidget() {
    // ドラッグジェスチャーオブジェクトを作成
    m_dragGesture = new QDragGesture(this);

    // ピンチジェスチャーオブジェクトを作成
    m_pinchGesture = new QPinchGesture(this);

    // ジェスチャー開始時の処理
    connect(m_dragGesture, &QGesture::started, [this] {
      // ドラッグ開始処理
    });

    connect(m_pinchGesture, &QGesture::started, [this] {
      // ピンチ開始処理
    });

    // ジェスチャー更新時の処理
    connect(m_dragGesture, &QGesture::updated, [this] {
      // ドラッグ更新処理
    });

    connect(m_pinchGesture, &QGesture::updated, [this] {
      // ピンチ更新処理
    });

    // ジェスチャー終了時の処理
    connect(m_dragGesture, &QGesture::finished, [this] {
      // ドラッグ終了処理
    });

    connect(m_pinchGesture, &QGesture::finished, [this] {
      // ピンチ終了処理
    });
  }

protected:
  void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override {
    // マウスボタン押下時にドラッグジェスチャーのみをキャンセル
    if (m_dragGesture->isActive()) {
      gestureCancelPolicy(m_dragGesture, QGesture::CancelCurrent);
    }

    // ...

    QWidget::mousePressEvent(event);
  }

private:
  QDragGesture *m_dragGesture;
  QPinchGesture *m_pinchGesture;
};

CancelOthers ポリシー

class MyWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT

public:
  MyWidget() {
    // ドラッグジェスチャーオブジェクトを作成
    m_dragGesture = new QDragGesture(this);

    // ジェスチャー開始時の処理
    connect(m_dragGesture, &QGesture::started, [this] {
      // ドラッグ開始処理
    });

    // ジェスチャー更新時の処理
    connect(m_dragGesture, &QGesture::updated, [this] {
      // ドラッグ更新処理
    });

    // ジェスチャー終了時の処理
    connect(m_dragGesture, &QGesture::finished, [this] {
      // ドラッグ終了処理
    });
  }

protected:
  void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override {
    // マウスボタン押下時にドラッグジェスチャー以外のすべてのジェスチャーをキャンセル
    if (m_dragGesture->isActive()) {
      gestureCancelPolicy(m_dragGesture, QGesture::CancelOthers);
    


Qt Widgetsにおける QGesture::GestureCancelPolicy のその他の方法

QGesture::setCancelPolicy() メソッドを使用して、ジェスチャーオブジェクトのキャンセルポリシーを設定できます。

// ジェスチャーオブジェクトを取得
QGesture *gesture = ...;

// ジェスチャーキャンセルポリシーを設定
gesture->setCancelPolicy(QGesture::CancelCurrent);

Qt Designer を使用して、ジェスチャーオブジェクトのキャンセルポリシーを設定できます。

  1. Qt Designer でウィジェットを開きます。
  2. ジェスチャーオブジェクトを選択します。
  3. プロパティエディタで cancelPolicy プロパティを見つけます。
  4. ドロップダウンリストから希望するキャンセルポリシーを選択します。

コード例

// Qt Designer で作成されたウィジェットクラス
class MyWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT

public:
  MyWidget() {
    // ドラッグジェスチャーオブジェクト
    m_dragGesture = new QDragGesture(this);

    // Qt Designer でキャンセルポリシーを設定
    m_dragGesture->setProperty("cancelPolicy", QGesture::CancelCurrent);

    // ...
  }

private:
  QDragGesture *m_dragGesture;
};

注意事項

  • 上記の方法以外にも、QGestureEvent クラスを使用してジェスチャーキャンセルを処理することができます。

その他の方法

  • ジェスチャー認識を無効にする
  • 特定のジェスチャーのみを許可する
  • ジェスチャーキャンセルを検知して処理する

これらの方法は、アプリケーションの要件によって異なります。




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