Qt WidgetsにおけるQGesture::GestureCancelPolicyのその他の方法
Qt Widgetsにおける QGesture::GestureCancelPolicy の詳細解説
QGesture::GestureCancelPolicy の値
- CancelIgnored: ジェスチャーキャンセルを無視し、ジェスチャーはそのまま続行されます。
- CancelAll: すべてのジェスチャーをキャンセルします。
- CancelCurrent: 現在のジェスチャーのみをキャンセルします。
- CancelOthers: 現在のジェスチャー以外のすべてのジェスチャーをキャンセルします。
各ポリシーの詳細
CancelIgnored:
- ジェスチャーキャンセルを無視するため、ジェスチャーは中断されずに最後まで実行されます。
- ユーザーが誤ってジェスチャーをキャンセルしてしまった場合などに有効です。
- 例えば、ドラッグジェスチャー中に誤ってキャンセルボタンを押してしまった場合、このポリシーを設定することでドラッグ操作を続行することができます。
CancelAll:
- すべてのジェスチャーをキャンセルします。
- アプリケーション全体でジェスチャーを無効化したい場合に有効です。
- 例えば、モーダルダイアログが表示されたときに、すべてのジェスチャーをキャンセルしてユーザー入力をダイアログに集中させることができます。
CancelCurrent:
- 現在のジェスチャーのみをキャンセルします。
- 複数のジェスチャーが同時に発生している場合、特定のジェスチャーのみをキャンセルしたい場合に有効です。
- 例えば、ドラッグジェスチャーとピンチジェスチャーが同時に発生している場合、このポリシーを設定することでドラッグジェスチャーのみをキャンセルし、ピンチジェスチャーを続行することができます。
CancelOthers:
- 現在のジェスチャー以外のすべてのジェスチャーをキャンセルします。
- 現在のジェスチャーに集中したい場合に有効です。
- 例えば、テキスト入力中にジェスチャーによる画面スクロールを無効化したい場合、このポリシーを設定することでテキスト入力に集中することができます。
ポリシーの選択
どのポリシーを選択するかは、アプリケーションの要件によって異なります。複数のジェスチャーを同時に処理する複雑なアプリケーションでは、CancelCurrent
や CancelOthers
などのポリシーを使い分けることが必要になる場合があります。
// ジェスチャーオブジェクトを取得
QGesture *gesture = ...;
// ジェスチャーキャンセルポリシーを設定
gesture->setCancelPolicy(QGesture::CancelCurrent);
// ジェスチャーの開始
gesture->start();
// ...
// ジェスチャーのキャンセル
gesture->cancel();
- 上記の説明は Qt 5.15 をベースにしています。他の Qt バージョンでは、
QGesture::GestureCancelPolicy
の動作が異なる場合があります。 - ジェスチャーキャンセルポリシーは、Qt Widgets モジュールでのみ使用できます。
Qt Widgetsにおける QGesture::GestureCancelPolicy のサンプルコード
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// ドラッグジェスチャーオブジェクトを作成
m_gesture = new QDragGesture(this);
// ジェスチャーキャンセルポリシーを設定
m_gesture->setCancelPolicy(QGesture::CancelIgnored);
// ジェスチャー開始時の処理
connect(m_gesture, &QGesture::started, [this] {
// ドラッグ開始処理
});
// ジェスチャー更新時の処理
connect(m_gesture, &QGesture::updated, [this] {
// ドラッグ更新処理
});
// ジェスチャー終了時の処理
connect(m_gesture, &QGesture::finished, [this] {
// ドラッグ終了処理
});
}
protected:
QDragGesture *m_gesture;
};
CancelAll ポリシー
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// ジェスチャー認識を有効にする
setAcceptGestures(true);
// ジェスチャーキャンセル時の処理
connect(this, &QWidget::gestureCanceled, [this] {
// すべてのジェスチャーキャンセル処理
});
}
protected:
void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override {
// マウスボタン押下時にすべてのジェスチャーをキャンセル
gestureCancelPolicy(QGesture::CancelAll);
// ...
QWidget::mousePressEvent(event);
}
};
CancelCurrent ポリシー
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// ドラッグジェスチャーオブジェクトを作成
m_dragGesture = new QDragGesture(this);
// ピンチジェスチャーオブジェクトを作成
m_pinchGesture = new QPinchGesture(this);
// ジェスチャー開始時の処理
connect(m_dragGesture, &QGesture::started, [this] {
// ドラッグ開始処理
});
connect(m_pinchGesture, &QGesture::started, [this] {
// ピンチ開始処理
});
// ジェスチャー更新時の処理
connect(m_dragGesture, &QGesture::updated, [this] {
// ドラッグ更新処理
});
connect(m_pinchGesture, &QGesture::updated, [this] {
// ピンチ更新処理
});
// ジェスチャー終了時の処理
connect(m_dragGesture, &QGesture::finished, [this] {
// ドラッグ終了処理
});
connect(m_pinchGesture, &QGesture::finished, [this] {
// ピンチ終了処理
});
}
protected:
void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override {
// マウスボタン押下時にドラッグジェスチャーのみをキャンセル
if (m_dragGesture->isActive()) {
gestureCancelPolicy(m_dragGesture, QGesture::CancelCurrent);
}
// ...
QWidget::mousePressEvent(event);
}
private:
QDragGesture *m_dragGesture;
QPinchGesture *m_pinchGesture;
};
CancelOthers ポリシー
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// ドラッグジェスチャーオブジェクトを作成
m_dragGesture = new QDragGesture(this);
// ジェスチャー開始時の処理
connect(m_dragGesture, &QGesture::started, [this] {
// ドラッグ開始処理
});
// ジェスチャー更新時の処理
connect(m_dragGesture, &QGesture::updated, [this] {
// ドラッグ更新処理
});
// ジェスチャー終了時の処理
connect(m_dragGesture, &QGesture::finished, [this] {
// ドラッグ終了処理
});
}
protected:
void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override {
// マウスボタン押下時にドラッグジェスチャー以外のすべてのジェスチャーをキャンセル
if (m_dragGesture->isActive()) {
gestureCancelPolicy(m_dragGesture, QGesture::CancelOthers);
Qt Widgetsにおける QGesture::GestureCancelPolicy のその他の方法
QGesture::setCancelPolicy()
メソッドを使用して、ジェスチャーオブジェクトのキャンセルポリシーを設定できます。
// ジェスチャーオブジェクトを取得
QGesture *gesture = ...;
// ジェスチャーキャンセルポリシーを設定
gesture->setCancelPolicy(QGesture::CancelCurrent);
Qt Designer を使用して、ジェスチャーオブジェクトのキャンセルポリシーを設定できます。
- Qt Designer でウィジェットを開きます。
- ジェスチャーオブジェクトを選択します。
- プロパティエディタで
cancelPolicy
プロパティを見つけます。 - ドロップダウンリストから希望するキャンセルポリシーを選択します。
コード例
// Qt Designer で作成されたウィジェットクラス
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// ドラッグジェスチャーオブジェクト
m_dragGesture = new QDragGesture(this);
// Qt Designer でキャンセルポリシーを設定
m_dragGesture->setProperty("cancelPolicy", QGesture::CancelCurrent);
// ...
}
private:
QDragGesture *m_dragGesture;
};
注意事項
- 上記の方法以外にも、
QGestureEvent
クラスを使用してジェスチャーキャンセルを処理することができます。
その他の方法
- ジェスチャー認識を無効にする
- 特定のジェスチャーのみを許可する
- ジェスチャーキャンセルを検知して処理する
これらの方法は、アプリケーションの要件によって異なります。
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