QTextBlock::boundingRect()とQTextCursor::blockBoundingRect()の違い
Qt WidgetsにおけるQPlainTextDocumentLayout::blockBoundingRect()解説
QPlainTextDocumentLayout::blockBoundingRect()
は、Qt Widgetsにおけるテキストレンダリング機能を提供するクラスQPlainTextDocumentLayout
のメンバー関数です。この関数は、指定されたテキストブロックの境界矩形を返します。
引数
block
: 境界矩形を取得したいテキストブロック
戻り値
- 対象となるテキストブロックの境界矩形を表す
QRectF
オブジェクト
詳細
QPlainTextDocumentLayout
は、QTextDocument
オブジェクト内のテキストをレイアウトし、レンダリングするための機能を提供します。blockBoundingRect()
関数は、そのレイアウト情報に基づいて、指定されたテキストブロックの境界矩形を計算します。
使用例
QPlainTextDocumentLayout layout(document);
QTextBlock block = layout.blockAt(position);
QRectF boundingRect = layout.blockBoundingRect(block);
// 境界矩形を利用する処理
注意点
blockBoundingRect()
関数は、テキストブロックの装飾やインデントを含めた視覚的な境界矩形を返します。- 実際のテキスト内容のみの境界矩形を取得したい場合は、
QTextBlock::boundingRect()
関数を使用する必要があります。 - 複数行にわたるテキストブロックの場合、境界矩形の高さは行間を含みます。
補足
QPlainTextDocumentLayout
クラスは、Qt Widgetsにおけるテキストレンダリング機能の基盤となるクラスです。blockBoundingRect()
関数は、その重要な機能の一つであり、テキストブロックの配置や描画処理などに利用することができます。
テキストブロックの境界矩形を描画する
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QTextDocument document;
document.setPlainText("This is a sample text.\nThis is another line.");
QPlainTextDocumentLayout layout(&document);
QMainWindow window;
QWidget *widget = new QWidget(&window);
window.setCentralWidget(widget);
// ウィジェットのサイズを設定
widget->resize(400, 300);
// ペイントイベントハンドラ
widget->paintEvent = [=](QPaintEvent *event) {
QPainter painter(widget);
// 各テキストブロックの境界矩形を描画
for (int i = 0; i < layout.blockCount(); ++i) {
QTextBlock block = layout.blockAt(i);
QRectF boundingRect = layout.blockBoundingRect(block);
painter.drawRect(boundingRect);
}
};
window.show();
return app.exec();
}
テキストブロックをクリックして情報を表示する
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QTextDocument document;
document.setPlainText("This is a sample text.\nThis is another line.");
QPlainTextDocumentLayout layout(&document);
QMainWindow window;
QWidget *widget = new QWidget(&window);
window.setCentralWidget(widget);
// ウィジェットのサイズを設定
widget->resize(400, 300);
// マウスプレスイベントハンドラ
widget->mousePressEvent = [=](QMouseEvent *event) {
QPointF point = event->pos();
// クリックされた位置にあるテキストブロックを取得
QTextBlock block = layout.blockAt(point);
// テキストブロックの情報を出力
qDebug() << "Block text:" << block.text();
qDebug() << "Bounding rect:" << layout.blockBoundingRect(block);
};
window.show();
return app.exec();
}
このコードは、QPlainTextDocumentLayout::blockBoundingRect()
を使用して、クリックされた位置にあるテキストブロックの情報を出力します。
複雑なレイアウト
上記のサンプルコードは、シンプルな例です。QPlainTextDocumentLayout
クラスは、複雑なレイアウトにも対応できます。例えば、以下のようなことができます。
- 段落のインデントを設定する
- 文字の色や太字を設定する
- 画像やリンクを挿入する
これらの機能を利用することで、より高度なテキストレンダリングを実現することができます。
QPlainTextDocumentLayout::blockBoundingRect() 以外の方法
QTextBlock::boundingRect()
QTextBlock
クラスには、boundingRect()
というメンバー関数があります。この関数は、テキスト内容のみの境界矩形を返します。
QTextBlock block = layout.blockAt(position);
QRectF boundingRect = block.boundingRect();
QTextCursor::blockBoundingRect()
QTextCursor
クラスには、blockBoundingRect()
というメンバー関数があります。この関数は、カーソル位置にあるテキストブロックの境界矩形を返します。
QTextCursor cursor(document);
cursor.setPosition(position);
QRectF boundingRect = cursor.blockBoundingRect();
QPainter::boundingRect()
QPainter
クラスには、boundingRect()
というメンバー関数があります。この関数は、描画されたテキストの境界矩形を返します。
QPainter painter(&widget);
painter.drawText(boundingRect, text);
QRectF boundingRect = painter.boundingRect();
各方法の比較
方法 | 対象 | 備考 |
---|---|---|
QPlainTextDocumentLayout::blockBoundingRect() | 指定されたテキストブロック | 視覚的な境界矩形 |
QTextBlock::boundingRect() | テキスト内容のみ | 視覚的な境界矩形ではない |
QTextCursor::blockBoundingRect() | カーソル位置にあるテキストブロック | 視覚的な境界矩形 |
QPainter::boundingRect() | 描画されたテキスト | 視覚的な境界矩形 |
どの方法を使うべきか
- 視覚的な境界矩形を取得したい場合は、
QPlainTextDocumentLayout::blockBoundingRect()
またはQTextCursor::blockBoundingRect()
を使用します。 - 描画されたテキストの境界矩形を取得したい場合は、
QPainter::boundingRect()
を使用します。
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