CMake の変数 "CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR" でソースコードとビルドディレクトリを自動的にインクルードパスに追加する方法
CMake の変数 CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
は、ソースコードとビルドディレクトリを自動的にインクルードパスに追加する機能を提供します。これは、特にソースツリー外のビルド (out-of-source build) で、ビルドツリー内で生成されたファイルがソースツリー内のファイルによってインクルードされる場合に役立ちます。
デフォルトでは、CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
は OFF
に設定されています。つまり、ソースコードとビルドディレクトリは自動的にインクルードパスに追加されません。
使用方法
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を ON
に設定するには、CMakeLists.txt ファイルで以下のように設定します。
set(CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR ON)
動作
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
が ON
に設定されている場合、CMake は以下のディレクトリを自動的にインクルードパスに追加します。
- 現在のソースディレクトリ (
CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR
) - 現在のビルドディレクトリ (
CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR
)
これらの追加のインクルードディレクトリは、サブディレクトリには伝播されません。
利点
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を使用すると、以下の利点があります。
- インクルードディレクトリを手動で設定する必要がなくなるため、CMakeLists.txt ファイルが簡潔になります。
- ソースツリー外のビルドで、ビルドツリー内で生成されたファイルがソースツリー内のファイルによってインクルードされる場合に役立ちます。
注意点
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を使用する場合、以下の点に注意する必要があります。
- インクルードパスが重複しないようにする必要があります。
- サブディレクトリにインクルードパスを設定する必要がある場合は、
INCLUDE_DIRECTORIES
コマンドを使用する必要があります。
例
以下の例は、CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を使用して、ソースコードとビルドディレクトリをインクルードパスに追加する方法を示しています。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR ON)
add_executable(myprogram main.cpp)
この例では、myprogram
という名前の実行可能ファイルが作成されます。main.cpp
ファイルは、CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
が ON
に設定されているため、ソースコードとビルドディレクトリ内のヘッダーファイルをインクルードできます。
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
は、CMake でソースコードとビルドディレクトリを自動的にインクルードパスに追加するための便利な変数です。ソースツリー外のビルドで、ビルドツリー内で生成されたファイルがソースツリー内のファイルによってインクルードされる場合に役立ちます。
CMake の "CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR" を使ったサンプルコード
例 1: 単純なプロジェクト
この例は、main.cpp
ファイルと CMakeLists.txt
ファイルを含む単純なプロジェクトを示しています。CMakeLists.txt
ファイルでは、CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を ON
に設定して、ソースコードディレクトリを自動的にインクルードパスに追加します。
// main.cpp
#include "header.h"
int main() {
print_hello();
return 0;
}
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR ON)
add_executable(myprogram main.cpp)
例 2: サブディレクトリ
この例は、サブディレクトリにヘッダーファイルがあるプロジェクトを示しています。CMakeLists.txt
ファイルでは、CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を ON
に設定して、ソースコードディレクトリを自動的にインクルードパスに追加します。
// main.cpp
#include "subdir/header.h"
int main() {
print_hello();
return 0;
}
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR ON)
add_executable(myprogram main.cpp)
例 3: インクルードパスを手動で設定
この例は、CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を使用してソースコードディレクトリを自動的にインクルードパスに追加し、さらに INCLUDE_DIRECTORIES
コマンドを使用して別のインクルードディレクトリを手動で設定する方法を示しています。
// main.cpp
#include "header.h"
#include "other/header.h"
int main() {
print_hello();
return 0;
}
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR ON)
include_directories("other")
add_executable(myprogram main.cpp)
例 4: ソースツリー外のビルド
この例は、ソースツリー外のビルドで CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
を使用する方法を示しています。ソースコードディレクトリは build
ディレクトリとは別の場所にあり、CMakeLists.txt
ファイルは build
ディレクトリにあります。
// main.cpp
#include "header.h"
int main() {
print_hello();
return 0;
}
# This is located in the build directory
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR ON)
add_executable(myprogram ../src/main.cpp)
これらの例は、CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
をさまざまな状況で使用する方法を示すほんの一例です。この変数は、ソースコードとビルドディレクトリをインクルードパスに追加するための柔軟で便利な方法を提供します。
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
は、CMake でソースコードとビルドディレクトリを自動的にインクルードパスに追加するための便利な変数です。ソースツリー外のビルドで、ビルドツリー内で生成されたファイルがソースツリー内のファイルによってインクルードされる場合に役立ちます。
CMake でソースコードとビルドディレクトリをインクルードパスに追加するその他の方法
INCLUDE_DIRECTORIES
コマンドを使用して、ソースコードとビルドディレクトリを明示的にインクルードパスに追加できます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
include_directories(
"${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}" # ソースコードディレクトリ
"${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}" # ビルドディレクトリ
)
add_executable(myprogram main.cpp)
この方法の利点は、インクルードパスが明確に定義されることです。ただし、ソースコードとビルドディレクトリを毎回手動で指定する必要があるため、煩雑になる可能性があります。
CMAKE_PREFIX_PATH
変数を使用して、インクルードパスを検索する場所を指定できます。この変数は、ソースコードとビルドディレクトリを含むディレクトリを指定するために使用できます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_PREFIX_PATH "${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR};${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}")
add_executable(myprogram main.cpp)
この方法の利点は、INCLUDE_DIRECTORIES
コマンドを使用するよりも簡潔であることです。ただし、CMAKE_PREFIX_PATH
変数は他のプロジェクトで使用される可能性があるため、意図せずインクルードパスを変更する可能性があります。
PROJECT_SUBDIRECTORIES
コマンドを使用して、サブディレクトリを再帰的に検索し、その中の CMakeLists.txt ファイルを実行できます。これは、ソースコードとビルドディレクトリを含むサブディレクトリを自動的にインクルードパスに追加するのに役立ちます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
project_subdirectories(src)
add_executable(myprogram main.cpp)
この方法の利点は、ソースコードとビルドディレクトリを明示的に指定する必要がないことです。ただし、サブディレクトリに CMakeLists.txt ファイルがない場合は、この方法が機能しません。
カスタムモジュールを使用する
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
と他の方法の欠点を克服するために、カスタムモジュールを作成できます。このモジュールは、ソースコードとビルドディレクトリを自動的にインクルードパスに追加するロジックをカプセル化できます。
この方法の利点は、柔軟性と制御性を高めることができることです。ただし、カスタムモジュールを作成および保守するには、より高度な CMake の知識が必要です。
CMAKE_INCLUDE_CURRENT_DIR
は、ソースコードとビルドディレクトリをインクルードパスに追加するための最も簡単で一般的な方法です。ただし、他の方法も状況に応じて役立つ場合があります。
どの方法を使用するかは、プロジェクトのニーズと要件によって異なります。
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